「取り急ぎご連絡まで」は失礼?ビジネスシーンでの適切な表現を解説

「取り急ぎご連絡まで」は、ビジネスでよく使われるフレーズですが、その使い方に不安を感じる人も多いでしょう。目上の人や取引先に対して使うと失礼な印象を与える可能性もあるため、丁寧な言い換え表現を身につけることが重要です。本記事では、「取り急ぎご連絡まで」の意味、適切な使い方、そして言い換え例を詳しく解説します。

「取り急ぎご連絡まで」の意味

「取り急ぎご連絡まで」は、「とりあえず急いで、ご連絡いたします」といった丁寧な表現を簡略化したもので、「ひとまず急ぎで、要件だけお伝えします」という意味のビジネスフレーズです。

詳細な情報がまだ揃っていない、あるいはゆっくりと丁寧に連絡する時間がない場合に、まず第一報として連絡することを相手に伝える際に使われる言葉で、詳しい内容は後で改めて連絡する、というニュアンスを含みます。

「取り急ぎご連絡まで」の使い方

「取り急ぎご連絡まで」は、緊急性の高い情報や、迅速に共有すべき事柄を伝える際に使われ、素早い対応を示すことができる便利なフレーズです。 ここでは、このフレーズを効果的に使うためのポイントと例文をご紹介します。

「取り急ぎご連絡まで」は、会議の時間が変更になったことを、詳細をまとめる時間がないけれど、今すぐ知らせるべきことがある場合に「〇〇さん、お疲れ様です。明日の会議、急遽15時に変更になりました。取り急ぎご連絡まで。詳細は後ほど改めて共有します。」と使ったり、後ほど改めて詳細を連絡する予定があるけれど、現時点での進捗だけを急いで共有したいという場合に「〇〇さん、資料ありがとうございます!取り急ぎ拝受のご連絡まで。内容確認後、また連絡します。」というような状況で活躍します。

〈 使い方の基本ルール 〉

● 1. 本当に急ぎの連絡に限定する

 「取り急ぎ」という言葉が示す通り、本当に緊急性のある内容に使いましょう。緊急性が低いのに頻繁に使うと、相手に「雑な人だな」「なぜもっと早く伝えなかったのか」「本当に急ぎなのか」と不信感を持たれる原因となる可能性があります。

● 2. 他の要件を加えず要件は一つに絞る

「取り急ぎご連絡まで」を使うメールやチャットでは、急ぎで伝えたい内容に絞り、他の要件を盛り込まないようにしましょう。複数の用件を詰め込むと、最も伝えたい情報がぼやけたり、緊急の連絡ではないと判断されたりする可能性があります。このフレーズを使う際は、伝えたいことを一つに絞り込み、異なる要件は、改めて別の連絡として送りましょう。

● 3. 必ず詳細の連絡を追って入れる

「取り急ぎご連絡まで」を使って要点のみを伝えた場合は、情報が不十分である可能性が高いです。必ず後日改めて詳細な情報を連絡するようにしましょう。これはビジネスにおける大切なマナーです。このフォローがないと、相手に「雑な対応」という印象を与えてしまいかねません。できるだけ速やかに、必要な情報をまとめて送りましょう。

● 4. メールやチャットでの使用が一般的

「取り急ぎご連絡まで」は、メールやチャットなど文字でやり取りする際に用いられる表現です。電話などの口頭で使うことは避けましょう。口頭で同様の意図を伝えたい場合は、「取り急ぎ、○○についてお伝えいたします。追って詳細はメールでお送りいたします」といったように補足説明をすると丁寧です。

「取り急ぎご連絡まで」を使うときの注意点

「取り急ぎご連絡まで」は、緊急の連絡を素早く伝える際に役立つ便利な表現です。しかし、使い方を誤ると相手に不快感を与えたり、失礼な印象を与えたりする可能性があるため、使う状況や相手によっては注意が必要です。以下の注意点を踏まえ、相手や状況に合わせて適切に「取り急ぎご連絡まで」を使いこなすことで、スムーズなコミュニケーションが実現できます。

タイムラグを極力なくす

相手からの連絡に対して返信する際に「取り急ぎご連絡まで」を使うのであれば、連絡があったらすぐに返信することが鉄則です。時間が経ってからこのフレーズを使っても、相手に「急いで返信したにしては連絡が遅い」というマイナスの印象を与えてしまいます。

目上の人・社外の人には使用を避ける

「取り急ぎご連絡まで」は文末を省略した形であり、ややカジュアルな印象を与えます。そのため、上司や取引先などの目上の人や社外の人に対して使うと、失礼だと受け取られる可能性があります。文頭に「まずは」、文末に「失礼いたします」などを加えることで、より丁寧な印象になります。

お礼やお詫びの際には使わない

お礼やお詫びは、相手への誠意を伝える大切な機会です。お礼や謝罪の気持ちを伝えるメールでは、「取り急ぎ」という言葉は適切ではありません。相手への誠意を伝えるために、適切な言葉を加えて丁寧な表現を心がけましょう。

「取り急ぎご連絡まで」の言い換え表現

「取り急ぎご連絡まで」は、緊急性や簡潔さを伝える際に役立つ一方で、文末が省略されているため、相手によってはカジュアルすぎる、あるいはややぶっきらぼうに聞こえてしまうことがあります。目上の人・社外の人に対しては、より丁寧な言い換え表現を用いることで、円滑なコミュニケーションを築けます。

1. まずはご連絡(ご報告)まで失礼いたします

「取り急ぎ」のニュアンスを残しつつ、「失礼いたします」を加えることで、簡潔ながらも丁寧な印象を与えます。

〈 例文 〉

□ 〇〇の件、進捗がございましたので、まずはご連絡まで失礼いたします。詳細は後ほど改めてご報告いたします。
□ ご送付いただいた資料、本日拝受いたしました。まずはご報告まで失礼いたします。内容を確認次第、改めてご連絡差し上げます。

2. 取り急ぎのご連絡にて失礼いたします

「ご連絡まで」の省略形を避けることで、よりきちんとした印象になります。こちらも簡潔さを保ちつつ丁寧さを加える表現です。

〈 例文 〉

□ 明日の会議ですが、急遽15時に変更となりました。取り急ぎのご連絡にて失礼いたします。
□ お預かりしておりました〇〇の件、対応が完了いたしました。取り急ぎのご連絡にて失礼いたします。

3. 用件のみのご連絡で恐縮ですが

急ぎの連絡で、詳細を省くことについて、相手への配慮を示したい場合に使う表現です。本来ならもっと丁寧に説明すべきところを簡潔に済ませることを、相手にわびる気持ちが伝わります。

〈 例文 〉

□ お忙しいところ恐れ入ります。〇〇の件で至急確認が必要な事態となりました。用件のみのご連絡で恐縮ですが、すぐにご対応いただけますでしょうか。
□ ご報告が遅くなり大変申し訳ございません。用件のみのご連絡で恐縮ですが、本日中に〇〇を提出いたします。

4. 略儀ながら、まずはメールにてご連絡申し上げます

本来なら直接会って、あるいは電話で伝えるべき内容を、簡略なメールで済ませていることへの丁寧な断りを入れる表現です。

〈 例文 〉

□ この度、〇〇のプロジェクトが正式に始動することとなりました。略儀ながら、まずはメールにてご連絡申し上げます。後日改めて、詳細をご説明させていただきます。
□ 来週開催される社内イベントにつきまして、略儀ながら、まずはメールにてご連絡申し上げます。詳細は添付資料をご確認ください。




「取り急ぎご連絡まで」の意味、適切な使い方、そして言い換え表現を詳しく解説しました。「取り急ぎご連絡まで」は、スピードが求められる現代ビジネスにおいて、非常に便利な表現です。しかし、ただ使えば良いというわけではありません。相手への配慮や状況判断が伴ってこそ、その真価を発揮します。状況に応じた言い換え表現を使いこなすことで、より丁寧で洗練された印象を与えることができます。



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