「ちなみに」はビジネスシーンで使える?言い換え表現・注意点を解説

「ちなみに」という言葉は、日常会話でよく使われますが、ビジネスシーンで使っていいのか、また敬語なのかと悩む人は少なくありません。この記事では「ちなみに」の正しい意味や使い方、敬語としての適切性を解説します。また、ビジネスで使える言い換え表現や、使用する上での注意点も、例文を交えて詳しくご紹介します。この記事を読むことで、コミュニケーションスキルを向上させ、よりスマートな表現を身につけましょう。

「ちなみに」の意味

「ちなみに」は、前に話した内容に簡単な補足情報を付け加える際に使う言葉で、「ついでに言うと」といった意味を持つ接続詞です。話の流れの中で、本題から少しずれるけれど、関連する情報や、相手にとって有益な情報を伝える際に使います。漢字で書くと「因みに」となりますが、一般的にはひらがなで表記されることが多いです。

「ちなみに」は敬語ではありません。尊敬語や謙譲語、丁寧語とは異なり、追加情報を提示する役割を果たします。そのため、日常会話では問題なく使えますが、ビジネスシーンやフォーマルな文書で使う際は注意が必要です。「ちなみに申し上げますと」のように、丁寧な言葉と組み合わせたり、文脈や相手との関係性を考慮し、より丁寧な表現に言い換えることをおすすめします。

「ちなみに」の使い方

「ちなみに」は、前に述べた内容を補足したり、関連する追加情報を伝えたりする際に使います。話の本筋から少し外れますが、知っておくと便利な情報を付け加えたいときに便利な言葉です。


● 関連性のある情報を付け加える

本題とまったく関係のない話に切り替えるときは「ところで」を使います。
「ちなみに」は、あくまで元の話題とつながりのある情報に限定しましょう。
〈 例文 〉
 □ 明日の会議は10時からになりました。ちなみに、会議室はBです。
 □ 本日の会議はオンライン開催になりました。ちなみに、ミーティングIDは先ほどメールで送付しました。
 □ 明日のイベント会場は地図をご参照ください。ちなみに、最寄りのバス停からも徒歩5分ほどです。


● 余談や豆知識を話す

「ちなみに」は、話のテーマに関連する、少し本筋から外れた余談や豆知識を伝えるときに役立ちます。
相手の興味を引いたり、会話をより豊かにしたりする効果があります。
〈 例文 〉
 □ この商品は昨年発売されたばかりです。ちなみに、開発には5年もかかりました。
 □ このモデルは発売から3年経ちますが、今でも人気があります。
   ちなみに、昨年は世界で100万台以上売れています。
 □ この企画はAさんが担当しています。
   ちなみに、Aさんは以前、同じプロジェクトでチームリーダーを務めていました。


● 文書で補足する

「ちなみに」は、ビジネス文書やメール、案内文などで、本文の内容を補足する際にも使えます。
簡潔に付け加えたい情報があるときに便利です。
〈 例文 〉
 □ 参加者の方は5階にお集まりください。ちなみに、受付は10時から開始します。
 □ 会議室の鍵は受付にてお渡しします。ちなみに、利用後は施錠をお願いいたします。
 □ セミナーへのご参加ありがとうございます。
   ちなみに、今後の開催スケジュールはウェブサイトでもご確認いただけます。

「ちなみに」を使うときの注意点

「ちなみに」は便利な言葉ですが、使い方を間違えると相手に失礼な印象を与えてしまうことがあります。
以下の3つの点に注意して使いましょう。

1: 話題を変えるときは使わない

「ちなみに」 は、直前の話に関連する補足情報を付け加えるときに使います。そのため、話がまったく違う方向に変わる「話題転換」には使いません。関連性がない話に使ってしまうと、相手に混乱を与えてしまう可能性があります。全く関係のない話題に切り替える際は、「ところで」を使いましょう。

2: 質問には使わない

「A社への訪問は明日になりました。ちなみに、同行してもよろしいでしょうか?」のように、「ちなみに」を使って質問するのは適切ではありません。質問するときは「ちなみに」を使わずに、単独で尋ねましょう。

3: 過度な使用は避ける

「ちなみに」は、追加情報を伝えるのに便利な言葉ですが、使いすぎると話がまとまらない印象を与えてしまいます。相手に「情報が整理されていないな」と思われてしまう可能性もあります。伝えたい情報が多いときは、「ちなみに」を何度も使うのではなく、箇条書きにするなどして、情報をシンプルにまとめることを心がけましょう。そうすることで、相手は内容をスムーズに理解できます。

「ちなみに」の言い換え表現

「ちなみに」は便利な言葉ですが、同じ表現を繰り返すのを避けたい場合や、より丁寧な言葉を使いたい場合は、いくつかの言い換え表現があります。

これらの言葉は、いずれも前に述べた内容に関連する事柄を付け加える際に使います。伝えたい情報の性質や文脈に合わせて使い分けることで、表現の幅が広がり、よりスムーズなコミュニケーションにつながります。

以下に「ちなみに」の言い換え表現と、ビジネスシーンでの具体的な例文をご紹介します。

1: なお

「なお」は、「ちなみに」よりも改まった、かしこまった印象を与える言葉です。ビジネス文書やメール、公式なアナウンスなどで、重要な追加情報や注意点を付け加えたいときに使います。

〈 例文 〉

 □ 来週の会議はオンラインで開催します。なお、議事録は後日共有します。
 □ 請求書を添付いたしました。なお、お支払いは月末までにお願いいたします。

2: 補足すると(補足いたしますと)

「補足すると」は、言葉通り「補足」を明確に伝えたいときに使います。口頭での会話で、相手の話を邪魔しないように情報を付け加えたいときによく使われます。より丁寧な言い方として、「補足させていただきますと」や「補足いたしますと」があります。

〈 例文 〉

 □ ご質問の件ですが、補足すると、この価格には送料が含まれていません。
 □ このデータは暫定値です。補足いたしますと、最終報告は来週になります。

3: 加えて

「加えて」は、「これに加えて」という意味で、複数の情報を列挙して伝えたいときに適しています。単なる補足ではなく、項目を付け足していくようなニュアンスがあります。

〈 例文 〉

 □ 当社の製品は操作性が優れています。加えて、徹底した安全管理も強みです。
 □ 本プロジェクトはコスト削減が目標です。加えて、業務効率化も同時に進めます。




「ちなみに」の意味や使い方、言い換え表現・注意点を解説しました。「ちなみに」は「ついでに言うと」という意味を持つ接続詞で、前に述べた内容を補足するときに使われます。この言葉は敬語ではないため、ビジネスシーンでは使う相手や状況に注意が必要です。

親しい同僚や部下には使えますが、取引先や目上の人に対しては、より丁寧な「なお」や「補足いたしますと」といった言い換え表現を使うのが望ましいでしょう。また、「ちなみに」は、元の話題と関連のある情報に限定して使うのがポイントです。まったく関係のない話や質問には使わないように注意しましょう。適切な使い方を身につけることで、コミュニケーションをより円滑に進められます。



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